【背中で操作!?】スイスの最新型車椅子について解説

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はじめに

皆さんは車椅子を自操していて、肩が痛くなったことはありませんか?

日本やアメリカ・ヨーロッパ諸国では、この肩の痛みに対して、どのように負担を軽減するのかという問題を抱えています

福祉大国であるスウェーデンの企業、ペルモビール社が出した1つの答えとしては、「スマートドライブ」という商品があります。

スマートドライブとは?

SmartDrive SE
製品の特徴 「スマートドライブ SE」には、これまでオプション扱いだったスピードコントロールダイヤルが標準装備!上肢の筋力低下などにより駆動能力が十分ではない方でも、スマートドライブの電動モーターのアシストを加えることで、ハンドリムを操作す...

このデバイスは、腕時計のようなデバイスや、車椅子に取り付けたスイッチを利用し、前方への推進力をサポートしてくれるデバイスとなっています。日本でもちょこちょこ利用する人お見かけすることがありますよね。

ただ、このデバイスの問題点として、日本では使用しづらいのではと考えています。

何故なら、アメリカなどと比較すると、日本は長く直線が続く道よりも、曲線が多いからです。

スマートドライブは、前方への推進力はサポートしてくれますが、曲がる際は曲がる側のハンドリムを抑える必要があるため、抑える際に余分な力を使用する必要があるとも言えます。

また、例えば電車を待っている際に、誤作動で前方へ動いてしまうと、ホームへの転落リスクなどが生じる可能性もあります。

しかし、今回紹介する「背中で操作する車椅子」は、スマートドライブとは全く逆の発想で、曲がる際に車椅子ユーザーの負担を減らすことを試みています

背中で操作する車椅子とは?

以下がその車椅子の紹介動画になります。

このデバイスは、スイスのETHチューリッヒの研究者、レト・トグニ氏とシュテファン・ヴィリガー氏が開発した車椅子です。
ユーザーは体重移動によって方向転換が可能で、関節への負担を軽減し、移動効率を向上させるとしています。

https://ethz.ch/en/news-and-events/eth-news/news/2024/10/sit-back-and-move-forward-with-ease.htmlより引用

こちらはETHのニュース記事から引用した図ですが、車椅子乗車時の消費エネルギー量について記載されています。左が従来の車椅子操作、右が背中で操作する車椅子操作時のものですが、右側の図の方が赤字で示される部分(ブレーキがかかっている箇所)が圧倒的に少ないことが分かるかと思います。

その他の効果としては、

従来の車椅子操作よりも体幹の側屈が生じることで、腰痛の改善や、内科的な部分で言うと消化不良などにも効果が出てくるのでは

https://ethz.ch/en/news-and-events/eth-news/news/2024/10/sit-back-and-move-forward-with-ease.htmlより引用

と述べています。
確かに車椅子ユーザーの方では、体幹を動かす機会が少なく、不良姿勢にもなりやすいため、消化器系への影響も出てきます。こういったデバイスを使用し、上肢のみでなく体幹の活動量を確保するといった考え方も面白そうです。

おわりに

私がこの技術を始めて目にした時、まるで「スケートボード」のような面白さがあるなと思いました。
前方への推進力に関しては、現在のデバイスでは自身で操作を行う必要がありますが、左右に曲がる際にハンドリムを抑える必要がないことは非常に魅力的に感じます。

それに、何より乗車してて楽しそうです!
こんなデバイスに乗車できたら、「少し外に出てみようかな?」という気持ちも湧きやすいのではないでしょうか?

デモとしては、既に50名以上に実施され、良好な印象を受けているとのことですが、商品化するにあたり、保険適応になるのか、どのような形で販売するのかなどが今後の課題になっているようです。

ただ、実装すれば一度試してみたいですね!
また何か最新情報があれば皆さんにもお伝えしたいと思います!

本記事では、論文に関する最新の研究結果をご紹介しました。
研究の内容は、執筆時点での最新のエビデンスに基づいていますが、今後の研究によって内容が変更される可能性があります
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脊髄損傷研究所

認定理学療法士(脊髄障害)/脊髄損傷の方を100例以上担当/再生医療/BMI/「無知こそ最大のリスク」をテーマに、脊髄損傷の当事者の方に向けて、脊髄損傷に関するトピックスを、医学的な知識がない方でも理解ができるよう、分かりやすく解説するブログ「SCI LAB」を運営。

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